解錠できる鍵を壊したがる人もいます

集合住宅の玄関鍵を紛失すると、家屋に入れるのは玄関だけですから玄関の鍵を解錠するでしょう。
通路の窓に格子が掛かっていなければ、そこのガラスを割って入ります。
また、ベランダに通じる窓が開いていたらお隣さんから入る方法もあります。
しかし、ここではそのような選択肢が残されていないと仮定します。
このような時、鍵師はどのようにするかというと、ピッキングを試みます。
何故かというと、ピッキングの方が依頼者の費用負担が低いからです。
壊すとなると、鍵師は破壊費用を請求します。
尚且つ、手間とリスクの高さから、その費用はピッキングよりも高いのが相場です。
次ぎに依頼主は鍵を新たに注文するでしょう。
鍵代と設置費用、さらには出張費用まで請求されます。
壊すとなると、依頼主は泣きっ面に蜂ではないでしょうか。
しかも、集合住宅で壊すとなると、近所迷惑です。
ドリリングと呼ばれる鍵穴にドリルを入れて壊す方法を通常取るのですが、喧しいです。
最近は防犯機能が高く、ドリリング対策を施した鍵が出回っています。
これが鍵師の作業を困難にするのです。
必然的に作業時間が長くなるでしょう。
そして、夜間となると迷惑どころの話ではなく、睡眠妨害です。
鍵師が鍵を壊すのを避けるのも頷けます。
また、鍵師が鍵をピッキング自体に闘志を燃やして壊さないケースもあります。
職業魂でしょうか。
依頼主が早く宅内に入りたがっているのを余所に、解錠に全力投球するのです。
依頼主の要望が大切なのか、解錠できたときの満足感が大切なのか、判断はそれぞれです。
中には全力投球が好きな方もいるのです。
ですが、中には「何でもいいから壊せ」と勧める人もいるのです。
それは鍵メーカーです。
鍵師がピッキングして開けてしまったとしましょう。
しかも、あっという間の数分での解錠です。
そうなると、防犯機能を高めたことをうたっている鍵メーカーの立場がありません。
このような方々は、「鍵を無くした時はシリンダーの破壊を!」と声を高らかに叫んでいるのです。